Summary 有機空間の概要
1、「有機空間」
(1)定義
有機空間とは、有機化学物質を「使用していない」ことの証明できるトレサビリティ・システム(=商品やその原材料などを個別に識別し、生産から加工・流通・販売・廃棄までの過程を明確に記録することによって、さかのぼって履歴情報を確認できるようにすること。)を有し、建設された空間。
(2)特徴
①建築基準法の規制は2物質の使用禁止制限および使用量制限となっているが、有機空間は435物質の使用禁止制限がある
②使用材料だけの管理ではなく、作業員・工具等も管理し施工される
③以上の記録が保管される
2、「有機空間」の法理的根拠
(1)JAS法「農林物質の規格化及び品質管理の適正化に関する法律」(1950年制定)
①JAS規格制度
農林物質の品質改善、生産合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化による格付検査に合格した製品にJASマークをつける制度
②品質表示基準制度
一般消費者の選択に資するために農林水産大臣が制定した品質規準に従った表示を製造業者、販売業者に義務付ける制度
(2)特定JAS規格と指定農林物質
①特色ある生産方法によることを表示した食品等で、2000年1月20日に有機農産物及び有機農産物加工食品が「特色ある生産方法」によるものと定められた。
②消費者の選択に著しい支障を生じる恐れがあるために、有機農産物及び有機農産物加工食品を指定農林物質に指定。これにより「有機」の表示の適正化が図られる。
(3)有機農産物の生産原則(農林水産省告示第59号)
化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本とする。(抜粋)
(4)有機農産物加工食品(農林水産省告示第60号)
原材料である有機農産物の持つ特性が製造又は加工の過程において保持されることを旨とし、物理的または生物の機能を利用した加工方法を用い、化学的に合成された食品添加物及び薬品の使用を避けることを基本とすること。
(5)「有機」の表示
JAS規格に適合するものであるかどうか、その生産又は製造の方法について検査を受けた結果、これに合格し「有機JASマーク」が付けられたものでなければ、「有機」又は「オーガニック」の表示をしてはならない。
(6)格付(有機規格適合)について
①認証
第三者機関として登録格付機関が格付を行う方法
②認定
事業者の生産、製造工程や品質管理体制等の状況からみて、製品の品質の安定性や規格への適合性が確保されていると、登録認定機関から審査を受けて合格した場合、事業者(生産工程管理者)が自ら格付を行う方法。
※日本農林規格認定機関から個体で認証されるか、日本農林規格認定機関から認定された者が認証した場合のみ有機JASマークの表示が出来る。
3、有機農産物等と有機空間
(1)有機農産物等の汚染リスク
①有機農産物の日本農林規格及び有機農産物加工食品の第4条
輸送、選別、調整、洗浄、貯蔵、包装その他の工程において汚染リスクを管理する。
②移染
有機農産物等が生産工程から消費者の手に届くまで、有害化学物質にさらされないように配慮されていなければならない。
(2)有機(オーガニック)空間
有害化学物質を使用していないことの証明ができるトレサビリティ・システムを有する空間
4、有機空間についての生産工程管理者技術基準(認定)
日本農林規格登録認定機関ASACが定める資格規定に適合する生産工程管理又は把握を担当する者、確認を担当する者を配置した組織を有し、有機化空間認定に係わる施設要件を満たし、有機空間生産工程管理規定並びに有機空間引渡し規定が整備されていると、審査を受け合格した者。
5、建物の有機表示
(1)「有機空間」生産工程管理者(施工・管理に係わる生産工程管理者)
JAS法による有機空間生産工程管理者(施工・管理に係わる生産工程管理者)の第一号認定者は株式会社神田工務所(現:株式会社神田エンジニアリング)
認定の年月日 2004年9月12日
認定番号 OBC-04-256-01
認定者 特定非営利活動法人ASAC
(2)全国の施工実績
第1号 菊水日本酒文化研究所 日本初の「有機空間」を表示した建築物
第2号 新潟スバル自動車株式会社新発田店 ショールームとしては国内第1号認証
第3号 社会福祉法人 真称寺百華保育園
6、有機空間の必要性
消費者に安心した食品をお届けするために、有機農産物を使用するだけでなく、生産施設、小分け施設、物流施設に「有機空間」の必要性が求められる。